南アルプス白鳳三山縦走テント泊の帰りに偶然立ち寄った「道の駅はくしゅう」。近くにはサントリーやシャトレーゼの工場がある。名水の地、山梨県である。 そこに長い行例を発見。なんだなんだと近くに行ってみた。 天然氷のかき氷店であった。見るからにフワフワ氷の生シロップのかき氷。食べてみたい! でもあま市までの帰宅途上。難路の杖突峠を越えてひたすら国道で6時間。高速は使わないので先は長い。この行列では1時間待ちか。泣く泣く諦めて、情報を撮影して帰宅。
そして、PCで検索してみると、天然氷を苦労して作る「天然氷蔵元八義」。天然氷を作る大変さと共に八ヶ岳の安全安心な食材をフルに使用した地産地消型のかき氷店であった。 夏イチゴ、脂肪分の多い八ヶ岳牛乳で作った手作り練乳、チーズ、ヨーグルト、渥美半島のメロン、宮崎のマンゴウなど豪華な食材に感動。 次に目をおとすと夏季アルバイト募集年齢問わず!と飛び込んできた。これは行かねばならぬ。趣味の登山がとりもつご縁。人生が変わる予感。 その後、採用の通知メールがほどなく届いた。それが2017年7月24日のことだった。 そして、8月4日から八ヶ岳、白鳳三山、富士山に囲まれた八ヶ岳の自然にどっぷりつかりながら、かき氷屋さんで1カ月働くことになった。
蔵元八義での仕事は、イチゴのヘタ取り、メロン、マンゴーの皮むきから始まって三種類の練乳の調整など早朝より2時間黙々と始まる。そして、11時開店時にはすでにお客様は30人程並んでいる。皆さん、静かに列を作って並んでいる。 さあ開店! 氷がしゃっしゃっと削られる。そこへ生シロップと練乳をまんべんなく振りかける。繰り返すこと三回。どこまで食べてもちゃんとシロップの味がする「フワフワのかき氷」が完成。 お客様にお渡しするときに崩れないように細心の注意を払う。有ってはいけないことだが、それでも崩れてしまう時がある。 お渡しして少しすると「うわー」「キャー」「おいしいー」と黄色い歓声が聞こえてくる。そして誰もが「しあわせな顔」。作り手の蔵元八義のメンバーもニッコリとしあわせになる。この光景を8月の1カ月間見てしまった。
もうこれは、やらねばならぬ。私の地域でも作り手もお客様も「しあわせを感じるかき氷を提供したい!」そう思ってしまった。定年退職後の山登り三昧の私をこんな風に駆り立ててしまった「天然氷蔵元八義」さん。「その年齢から起業ですか?すごいですね」と言われるが、すごいのは「天然氷蔵元八義」さんですね。八義さんの提供する「かき氷」がすごいんですね。